05.GPDPocketハイバネート使用感と、デスクトップ設定について

ハイバネート使用感

 快適である。Linuxなので、ポメラHP200LXのそれには無論のこと及びはしないが、それでもLinuxMintロゴの下に、"Resuming from/dev/disk/by-UUID/<UUIDの長い文字列 >"が細かい文字で並んでいるのを見ると思いも寄らずおまけをもらった時のような嬉しさがこみあげてくる。さらに、OS起動後すぐ入力途中だったエディタ文書画面が表示され作業が再開できることは、「アプリを立ち上げ、文書を開く」ことなど別に大した手間ではないのではあるが、事前に考えていた以上に精神的な負担がない。さらには、文書入力をしていて、画面を閉じてすぐ次の行動に移行できることも事前に考えていた以上に快適である。何と言ってもハイバネートなので、停止中に電力を一切使わない点は経済的、及び精神的負担感がまったく無い。これも、思っていた以上に快適感が盛り上がってくる一要因であると思う。

 

ついでにデスクトップ機に実施してみた結果…

 GPDPocketでの好結果を受け、気をよくしてデスクトップにも実施してみた。結果は、こちらも成功だった。機械の構成は下記の通りである。
CPU :AMD Phenom2 BE
 M/B :ASUS M4A89GTD PRO
 メモリ:8GB
ディスク構成:BOOT 500MB  SWAP領域 12GB / 115GB

 

GRUB設定>
GRUB_CMDLINE_KINUX_DEFAULT=""」の「""」(引用符)内に「apm=off acpi=force resume=UUID=<#スワップ領域のUUID> 」を追加記述する。ファイル保存後、「sudo update_grub」で更新する。


【記述例】「GRUB_CMDLINE_KINUX_DEFAULT="apm=off acpi=force resume=UUID=<#スワップ領域のUUID>"」

 

 小生の場合、主使用がWindowsで、副(お下がり)にLinux等をその都度入れ替えて使用している。設定上今回は、初めからswap 領域をきちんと確保した。それに伴い、GRUB設定の記述も変わる。すなわち、スワップパーティション領域として作るか、GPDPocket時のようにファイルとして作るかによって、カーネルパラメータの指定方法が変わるのだ。スワップ領域」の場合は、resumeパラメータに、「スワップ領域のUUID」のみを指定する。スワップファイル」の場合はresumeパラメータには「/(ルート)のUUID」を指定するとともに、resume_offsetパラメータにスワップファイルの物理ブロック番号の最初の番号を指定する。ちなみに、この二つのUUIDは、スワップ領域を確保したディスクの場合は、/etc/fstabにまとめて記載されるようである。今回小生は、このfstabファイル記載のデータを使用した。
 今回デスクトップを設定してみたのは、Debian11とMint21とMint20の3つである(たまたまデスクトップ機にDebian11がすでに入っていたためであるが)。結果をまとめると下記のようになる。
             Hibernate  Resume
 Debian11  ○   △→×
 Mint21  インストールできず
 Mint20   ○   △→○

 設定に関し、Debian11は何もすることがない。手間いらずである。なにせ、すべてデフォルトで使えるようになっている。電源管理アプリを好みで設定するだけで、ハイバネートする。電源も切れる。ただし、小生の環境ではレジュームで問題が出た。レジューム動作はするのだ。画面もきれいに復元する。「デフォルトですごいな。」と思ったのもつかの間、その後動かない。ロック状態である。でもよく見ると時計がハイバネートした時の時間のままである。どうやら見ているのは「スクリーンショット」のようだった。カーネルが、ハイバネート動作を具体的にどのように処理しているのか、ソースを見ていないので確かな事はわからない。が、おそらくスクリーンショットをハイバネート時に撮っておき、レジューム時の画面構成用にそれを使い、データを当てはめていくといったような処理なのであろうと推察する。そのためDebian11の動作は、レジューム時の画面表示直後に、処理が中断しているのであろうと思われた。基本的に設定はノータッチだったので、こちら側関与の原因としては、スワップ領域容量か、BIOS設定か。そこで領域容量をRAM2倍量にしてみたり、FastBootをやめてみたりしてみたが同様の結果だった。そこで、「スワップファイルを作って」と思って設定したが、Debianには"filefrag"コマンドが入っていない。「スワップファイルは使わせないということか」ということで諦め、「しからばMintにしよう」とサイトを見ると、すでにバージョンが21になっているではないか。「Mint恐るべし」と呟きつつ、最新版をインストールする。するとパーティション設定で引っかかる。最初「EFI領域を確保せよ」と言うので「自分の用途にはあまり関係ないのだが」と素通りするとその後に「GRUBのインストールに失敗した」と出、「じゃあ、まかせるわ」と、全部おまかせにすると今度は「EFI領域内の構成に失敗した」と出て、自分でやるのもだめ、機械がやるのもダメで、埒が開かないため、気の短い小生はここであっさりMint21を諦めることとした。と、書くと二回しかやっていないようだが、実際は、機械に任せる前にGParted-Liveを使って、数回パーティションを構成し直したりしているのである。
 さて、Mint20だ。設定を行った後、さっそく試行してみる。ハイバネートする。電源切れる。よしよし。レジュームする…?…しない。で、ログイン画面だ。あ~あ。そして再び、スワップ領域を広げたり狭めたりする作業の繰り返しの中で、ようやく「スワップ領域使用時の値指定方法」に辿り着く。やれやれ、再試行。ハイバネートする。電源切れる。レジュームする(ロゴマークとレジュームの文字出る)、画面が出た!…?…!!。Debian11とまったく同様の画面だった。静止画である。GRUB設定を見直し、正しく記載されているかを確認し、システムを再起動する。そして再試行する。すると、今度はハイバネートし、電源が切れた。数秒後、勝手に再起動した。あれよと思う間もなく表示された画面は、何とハイバネート時の画面で、マウスも動いている。時計も現在時刻である。変化は不意に訪れた。確認のため、もう一度ハイバネートさせてみると、今度はきちんと電源が切れたままだ。一時間ほど置いて起動させる。OS選択画面以降は、真っ黒画面である。ロゴマーク出ない。失敗か?すると、いきなりハイバネート時の画面が出た。動く。時計は、現在時刻だ。
 と言うことで、デスクトップでもようやくハイバネート機能が装備できた。その後何回か試行したが、現状問題なく使えている。
 GPDPocketで問題なく使えた設定でも、デスクトップでは動かない。個体が変われば動かない。Linuxでは珍しいことではない。今回、なぜ勝手に再起動したのかは謎だ。しかし使える。そんな所が良いのかもしれない。Mint20の起動時ロゴマークは、未だ出ないままだ。
 

04.GPDPocketで、ハイバネーションを使えるようにする

設定手順

  1. スワップファイル関連
  2. 「電源管理」アプリ関連
  3. GRUB関連

 

スワップファイル関連

 今回小生は、サスペンドやハイバネートのこと等あまり考えもなくLinuxをインストールしたので、すべてデフォルト状態の、インストーラーに言われるがままのパーティション構成である(そもそもサスペンドはデフォルトで機能するため、本稿ではハイバネートのみ扱っている)。そのため、特にスワップファイルが容量不足であるので、スワップファイルの再設定からはじめた。作業手順は下記の通りである。

  1. スワップファイルの容量と場所の確認
  2. スワップファイルの無効化と新スワップファイル作成
  3. スワップファイルの有効化と登録

スワップファイルの容量と場所の確認

 
 まずは、現状のスワップファイル容量の確認である。

 

$>free -h メモリとスワップファイルの容量等の情報が出力される。
$>swapon  スワップファイルの場所と容量が出力される。
 
 スワップファイルはディスクルートに置きたいので、上記操作のうちルートデバイス名と容量はメモしておく。その際、ルートデバイスのUUIDを全部でなくて良いので、区別できるりくらい書き留めておく。 
 次に、小生のGPDPocketではスワップファイルは2GB確保されているのみであったため、容量を変更する。簡単に言えば作り直しである。

スワップファイルの無効化と新スワップファイル作成


 現状、あなたのディスクにスワップファイルが正しく適正量設定されている場合、この作業は不要である、飛ばして<「電源管理」アプリ関連>に進んでいただければと思う。

(1)現スワップファイルの解除と解除した不要ファイルの削除

$> sudo swapoff -a  スワップファイルの解除
$> sudo rm -i /swapfile(場所とファイル名) 不要ファイルの削除

(2)新たなスワップ用ファイル新規作成(容量設定含む)

$> sudo dd if=/dev/zero of=/swapfile bs=1M count=12288 
 
 上記の内、"bs=1M"は、1回に転送するブロックの容量単位で、書き方として、"1M"と書くと、"1メガバイト=1048576バイト"のことを表す(これを"bs=1MB"と書いてはならない。それだと"百万バイト=1000000バイト"と解釈されてしまう)。その次の"count"は、ブロックの転送回数指定である。"bs"オプション×"count"オプションでファイル容量が決まる。小生の場合は12GBをファイル容量としたので、12×1024=12288回を指定した。ここは、各自の環境等により値を増減するところである。
 ちなみにスワップファイル容量に関しては、ハイバネート関連動作中、「ハイバネートしない」「短時間で勝手に回復する」「ハイバネートするが回復しない」等々、回復動作も含めてうまく動作しない場合の原因の多くを、このスワップファイルの容量不足が占めている。かと言って多過ぎてもシステムリソースを浪費するだけなので、適切な容量配分がとても大事である。ここら辺のことについては「Onkyo BX407A4にLinuxを入れて復活させる」においてすでにRAM容量との兼ね合いでスワップファイルの容量が決まること、RAM2GB以下の場合は、RAM容量×3が必須である等について解説した。これでいくと、GPDPocketのRAMは8GBのため、8GB×1.5=12GBを確保すれば良いのであるが、今回当初はハイバネート動作をまず確認したかったため、実績のあるRAM量の3倍である24GBを設定した。この設定量でハイバネート動作が問題なく動作することを確認できたので、現在はRAM量×1.5=12GBの設定に変更し、運用している。動作的には問題ない。むしろ復帰動作は、12GBの方が24GBより3秒程度(実測)早いようだ。
 "dd"コマンドは、作成するファイル容量にもよるが、少し待たされる。ファイルが出来たら、あとは登録設定である。

 

スワップファイルの有効化と登録

(3)作成したファイルの、スワップファイル登録

$>sudo chmod 0600 /swapfile  作成したファイルのパーミッションを、所有者のみ読み書きできるようにする
$>sudo mkswap /swapfile   "swapfile"ファイルを「swap領域」にする
$>sudo swapon /swapfile   "swapfile"をスワップファイルとして起動する。
 
 ここまでで、スワップファイルは完成起動した。だが、ここでシステムを再起動すると、すべて元の木阿弥になってしまう。作ったスワップファイルはあくまでも一時設定であるので、ここまでの設定を恒久化するため、次の二つの設定を施す(ちなみに、以下はコマンドを介して操作しているが、コマンドを使わず、手入力で直接設定ファイルを書き直しても構わない)。

$>sudo sed -i '/swap/{s/^/#/}' /etc/fstab  既存スワップファイル設定の無効化("fstab"ファイル内の"/swap"で始まる文をすべてコメントアウトする)。
$>sudo tee -a /etc/fstab <<< "/swapfile none swap sw 0 0" 作成した"/swapfile"の恒久化("fstab"ファイル内に、左記赤文字部分を追加で書き込む)。

 以上で、スワップファイルの準備が完了した。これによってハイバネートの受け皿ができたことになる。いよいよハイバネートコントローラーたる「電源管理」アプリの設定である。

「電源管理」アプリ関連

 と、言ってもこれは特に問題ないだろう。なぜなら、「『Onkyo BX407A4に〜』時の設定がそのまま使えるのではないだろうか」と思って、まったく同じに設定してみたら、案の定そのまま使えたからである(この部分の解説は「Onkyo BX407A4に〜」をご覧頂きたい)。「"ハイバネート"表示とか正しく出るのかな?」とも思ったが、これが「あたりまえでしょ」と言わんばかりに表示されるので、むしろ小生の方が恐縮してしまうのである(ただし、この設定及び解説時点で、システム再起同等かけてはいけない。GRUBの設定が未完了なので、ハイバネートが機能しないばかりか、場合によっては「OSの再インストール」等面倒な事になる可能性がある)。

 今回行った設定内容は下記の通りである。

設定場所とファイル

/etc/polkit-1/localauthority/50-local.d/com.ubuntu.enable-hibernate.pkla

(ファイルは新規に作成する)

設定内容

[Re-enable hibernate by default in upower]
Identity=unix-user:*
Action=org.freedesktop.upower.hibernate
ResultActive=yes

[Re-enable hibernate by default in logind]
Identity=unix-user:*
Action=org.freedesktop.login1.hibernate
ResultActive=yes

 

GRUB関連

設定場所とファイル

/etc/default/grub ファイル内の次の項目


GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT=""」の「""」(引用符)内

apm=off acpi=force resume=<#ルートデバイスのUUID> resume_offset=<#スワップファイルの物理オフセット値>

の4項目を追加記述する(項目間はスペースで文字分けする)。ファイル保存後、「sudo update-grub」で更新する。

【記述例】

GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="apm=off acpi=force resume=<#UUID> resume_offset=<#オフセット値>"」

 

 GRUBファイル中二ヶ所ラベルになっているところについて。

resume=<#ルートデバイスのUUID#>
resume_offset=<#スワップファイルの物理オフセット値#>

 これはカーネルパラメータで、適切な値をカーネルに伝える必要がある。設定場所は別にここでなくても良いようだが、具体的場所及びファイル名が分からず、小生が今回調べた中では、もっとも確からしい場所及びファイルということで設定した。もっと良い(スマートな)場所をご存知の方がおられたら、ご教示いただきたい。
 さて、ここで設定する値はそれぞれ厳密に正しい値でなければならない。「たぶん」とか「このくらいで」とかは当然ダメである。そこで次のコマンドを使う。

ルートデバイスのUUID


$> sudo findmnt / -o UUID

スワップファイルの物理オフセット値


$> sudo filefrag -v /swapfile

 

 上記の内、UUIDは長いので、コピペして使用するのがお奨めである。ちなみに、カーネルパラメータでは、「UUID」以外の「ラベル」等も使える。でも、重複の可能性の無いUUIDを使うのが良いと思う。
 "filefrag"コマンドを実行するとずら〜っと数値が表形式で出力されるので、出力表文字列中"physial_offset"カラムの1番上の段の左側の値を使用する。(下図丸囲み部分)

スワップファイル物理オフセット値

両方ともコピペし、GRUBファイルがようやく完成し、保存したら、"$> sudo update-grub"でも良いしシステム再起動でも良いので、設定を反映させる。正しく作業が完了しているなら、ハイバネート機能が装備されていることと思う。

 

03.GPDPocketの、ログイン画面横倒し状態を直す

ログイン画面の横倒し状態を直す

 実用上はほとんど関係ないが、意外と気になり、なおかつ実現までに比較的時間がかかったのがこの設定である。要は気にしなければ良いのである。以上、終わり。で済む人と済まない人とがいて、小生は後者なため色々探し求めた。すると、設定するとログイン画面にも起動後の画面にも一発で適用できる設定法があったので、文字通り一発で解決した。

設定手順

○設定場所及びファイル:
/etc/lightdm.conf.d/80-display-setup.conf

○設定内容
 [SeatDefaults]
 display-setup-script=スクリプト

 

 上記二行をエディタ等で記述し、保存すれば良い。その際注意点として、(1)上記設定ファイルは、デフォルトでは無いため新規に作成する必要がある。さらに、(2)スクリプト〕部にはディスプレイ設定用スクリプトを記述する必要がある。あなたがこのスクリプトをすでにご存知ならばそれを書けば良いのだが、小生はそんなもの知らなかったので、ツールを使用した。
 以上の点を考慮すると、実際の作業手順は、(1)先にツールを使ってスクリプトファイルを生成し、次にエディタで(2)このスクリプトファイルを加工し、設定ファイルとして完成させる。という手順を踏むこととする。
 さて、作業に戻る。この、画面設定スクリプト生成ツールは、デフォルトではインストールされていないため、次のコマンドでインストールし、起動する。

$> sudo apt-get install arandr
$> sudo arandr

 すると、下のようなGUIツールが起動するので、このツールのメニューから設定を変更する。

起動・設定画面

 ちなみに起動時に表示されているのが、現設定内容である。写真例では本来「縦型」の画面を横に倒していることがわかり、<モニター><DSI-1><向き>と選択すると(この写真例ではそこまでは写っていないが)、現状どちら向きに倒しているのか否かがわかる。ここで望ましい方向を設定したら、<レイアウト><名前を付けて保存>で上記「設定場所」にスクリプトファイルを保存する。無論ファイル名は上記ファイル名である。
 以上の作業で出来上がるのは、あくまでもツールarandrのスクリプトファイルなため、拡張子には「.sh」が付いていることと思う。このままでは設定ファイルとして読み込まないので、ルート権限のファイラー等で拡張子を取り除き、ファイル名が「80-display-setup.conf」となるよう整える。そして、ルート権限のエディタでファイルを開き、ファイル冒頭に生成されている「#!/bin/sh」を削除する。削除した後の残りが、設定で必要になるスクリプトである。最後に、この生成された文字列の前に上記「設定内容」の赤文字部分を記述する。記述完了後、エディタで上書き保存して作業終了である。再起動をかけ、設定が正しく反映されたかを確認する。

02.GPDPocketで、Linuxを通常使用できる状態に設定する

Linuxを通常使用できる状態に設定する

 通常使用できる状態とは、GPDPocketの使用目的に合致させることで、プリンターとネット接続、そしてAnthyのキー配列である。ネット接続は、今時のLinuxは本当に手間なしになり、LANケーブルをつなげるだけである。プリンターはメーカーサイトからドライバをダウンロードしてきてインストールしたが、このサイトに出ていたインストール方法の表記が曖昧で分かりにくかったのと、チャット問い合わせコーナーがあったのはいいが、問い合わせてもまったくの梨のつぶてだった。まったく「おお〜っ。兄弟よ!」と、叫びたくなる心境であった。
 結局ドライバは無事インストール出来、LAN接続で通常印刷が可能になった。気をよくしてスキャナドライバも入れたが、すでにデフォルトでフロントエンドも入っているので、最低限度のスキャナ機能は、ほとんど苦もなく実現できた。まさに隔世の感である。
 Anthyに関しては、これはまったく使い勝手等好みの問題である。小生は完全にATOK派なため、これに準じた使い方ができればそれで良いのである。Anthyの場合は、大手日本語変換IMEに準じているようなので、さほど大掛かりな設定変更は必要ないが、ATOKで言うところの「部分確定」がデフォルトではもちろん、「入力メソッド」アプリのカスタマイズ項目にもなく、<Anthyキー設定1><〔Anthy〕次分節>のキーに"down"(下向き矢印キー)を追加し、内部的な動作はともかくとして、見た目(実際の操作上)は、部分確定と同等な動作となるよう工夫した。しかし、どうしてもダメだったのが"ESC"キーでキャンセルを行う動作であった。これはカスタマイズでも何でもなく、Anthyのデフォルト動作のはずなのだが、どういうわけかは不明だがキャンセル動作をしない。どなたかご存知の方がおられたら、是非ご教示いただければと思う。

 

キーの割り当て変更

Anthyの設定周りをいじっていたら、「キー配列を変えれば早かろう」という点に気づいた。GPDPocketには、筐体が小さい、英語配列であるという制約があり、小生にとって、このキーボードは少々使いずらい。しかも、Anthyを使う際に、使い慣れたATOK風操作にしたいので、それらをかなえるべく、キーの配列変更に至ったというわけだ。

 

配列変更方針

 

・"右Alt"キーと"F12"キーを交換する
・"BS"キーと"Del"キーを交換する

 

手順と操作


1.uim-pref-gtkの設定
2.変更予定箇所のキーコードを調べる
$> xev

3.キー割り当てマップをファイルとして取得する
$> xmodmap -pke > ~/.Xmodmap

4.マップ内の該当個所を書き換える
5.マップファイルを読み込み、設定を一時反映させる
$> xmodmap ~/.Xmodmap

6.設定の恒久化


1.uim-pref-gtkの設定


 まず始めに、uim-pref-gtk(メニュー表記は「入力メソッド」。以下、「入力メソッド」と表記する)を設定しておく。
例えば小生は、AnthyのON/OFF切り替え機能を"右Alt"キーに割り振った。ATOKで言う所の「全角半角切り替え」(日本語配列キーボードの”変換”キー)である。しかし、「入力メソッド」では、左右Altキーの左右を区別しないため、"右Alt"キーにのみ機能を割り振りたくても、左右同一の動作をしてしまう。すなわち、"左Alt"キーも埋まってしまい、それはそれで不都合である。そのため、"右Alt"キーと"F12"キーを交換することにした。そこで、「入力メソッド」のAnthyのONとOFFの二項目にあらかじめ"F12"キーを設定しておく。先に設定するのは、そのキーに本当に設定可能かどうか、設定後の動きがどうなるか先に知ることができる。「入力メソッド」の"取得..."ボタンをクリックして取得できないキーには機能を割り振ることはできないのだ。これは当初GPDPocketキーボードの"Menu"キーに割り振ろうとしたことに由来する(「入力メソッド」では、"Menu"キーに他のキーを割り振ることができない。手順3の方法は、もちろん割り振り変更自由自在である)。


2.変更予定箇所のキーコードを調べる


 次にツールを使ってキーコードを取得する。上記コマンドを入力すると小さなツールが立ち上がる。その状態で希望するキーを押すと、そのキーに関する情報(イベント関連情報)が画面に表示されるので、"keycode"に表示されている値を読み取る。

 

3.キー割り当てマップをファイルとして取得する


 ファイルはホームディレクトリに出力される。自分用の設定なため、ホームディレクトリにファイルを置くのが筋というものであろう。


4.マップ内の該当個所を書き換える


 ファイルの中から該当キーコードを探し、必要に応じ書き換える。要は切り貼りすれば確実である.小生の場合は、"右Alt"キー(キーコード:108)の項目を、"F12"(同:96)の内容と入れ替えた。


5.マップファイルを読み込み、設定を一時反映させる


このコマンドで設定ファイルを読み込み、即刻反映される。しかし、次回ログインまでである。ログインした段階で、元設定に戻ってしまう。

 

6.設定の恒久化


 ログイン毎に、先のコマンドを手動で実行するのはさすがに気が遠くなるので、機械に自動でやらせたい。しかし、このキー周りの設定はxmodmapよりさらに上役がいて、いくらxmodmapが設定しても、この上役が上書きして元に戻ってしまうため、埒があかない。今回は、この上役をなんとかするまでは手が回らない。そこで、メニューの<設定><スクリプト自動起動するアプリ>に、シェルスクリプトとして登録した。この方法だと、ログイン後にシェルスクリプトを実行するので上役の手から逃れることができる。最初はシェルスクリプトの自動実行には、少々スマートさに欠けるような違和感を感じたが、考えてみれば.xinitrcなり.xsessionなりに記述したところで、行っている動作はその都度内部的にシステムが実行しているわけで、シェルスクリプトでの「自動起動」と、実行のタイミング以外は何ら変わりはない(ここではその「タイミング」こそが重要なのではあるが)。さらには、実際に使ってみると、「スクリプト自動起動するアプリ」を使う方が、気軽にキー変更設定を「有効」にしたり「無効」にしたりと、小生にとり実用上は使いやすいので、「瓢箪から駒」ではないが、何か少し得をしたような感じがする。
 さて、出来上がったキー変更とAnthyのキー設定により、エディタでの文書入力作業が、ほぼほぼATOK風になった。小生がよく使うのは、部分変換と文節移動、全角半角切り替え、およびバックスペースであるようなので、これらがほぼ日本語キーボード位置で操作できるようになったのは大きい。
 これでGPDPocketも文書作成標準機になるため、しばらくは手放せなくなりそうである。

01.GPDPocketに、LinuxMint20.3"una" Mateをインストールする

LinuxMint20.3のインストール

 インストール方法は、LinuxLiveCDイメージをUSBメモリに展開し、USBメモリからLinuxLiveを立ち上げたのち、インストールした。ある程度動作やデフォルトで入っているアプリ等を確認するのが目的である。すべてデフォルト設定で構わないが、パーティション(特にswap領域)はこの段階で必要量を確保してしまった方が、後々面倒がなくて良いのではないかと思う。
 特段変わったところがなければすべてでフォルトで問題ないが、GPDPocketの場合は、キーボードが英文配列なため、そこの設定を間違えないようにした。

0.GPDPocketに、Linuxを入れて復活させる【はじめに】

はじめに

 GPDPocketは、クラウドファンディングで資金集めをしていることを知って興味をもったのが最初だった。小さな筐体でWindowsフルスペックというのが魅力的なのだが、いかんせんこの手のデバイスはCPUが非力である。これもWindows10が載っているのは良いのだが、何をやるにも「もっさり君」なため、初め手にした興奮が覚めると,いつの間にか使わなくなっていったという経緯があった。根っからの小さい物稠密精巧物好きの小生にとり、このGPDPocketは決して悪くない。ボディのしっかりした剛性感ある造りや縦横奥行きの寸法比、梨地仕上げのセンスの良さだとかは、ストライクゾーンにかなり肉薄する。しかし、最後の実用性、しかも速度。これがいかんかった。「もっさり君」じゃだめなんだよなあといったところなのである。
 では今回なぜそんなGPDPocketにLinuxをインストールしたのか。前回本日誌「ONKYOBX407A4にLINUXを入れて復活させる」の二番煎じか。否。ポメラDM250である。6年ぶりに遂に世に出て来たポメラDM250を、買うべきかどうか迷い(いや、買うつもりでいたのだ。「次にポメラが出てきたら絶対買うぞ」と思っていたのだ。そして遂に出た。そうしたら、迷ってしまったのだ)現在手元にあるGPDPocketのOSをLinuxに替えて使いものにならないようなら、オークションで潔く売り払った金に少し足してポメラを買おうと考えたわけであった。結果、懸案の速度はどうだったか。GPDPocketは予想していた以上に快適である。「もっさり君」が「シャキシャキ君」になった。通常の使用、エディタでの文書作成やブラウジング、においては何ら遅さを感じさせない。さらにLinuxが普通感覚で手軽に使えそうになってきたとすら感じさせてくれた。他のデバイスとの接続性の進化だ。プリンターはむろんスキャナとも比較的すんなり接続できる。隔世の感である。さらには日本語入力環境だ。小生はUim-Anthyの組み合わせを使用しているが、これも変換精度、使い心地ともに7年前よりはまずまずの進化である。以前の Anthyに泣かされ続けたことを思うと、「成長したねえ」と声をかけてしまうのである。最後のとどめとして、GPDPocketも本稿で解説するように、ハイバネートがきちんと動く。と、言うよりハイバネートがないとポメラの代わりにはならぬ。代わりにするための最低条件が整ったのである。そんなわけでポメラDM250購入は、代わりが整ったことを受け大きく揺らいだ。最終決着はポメラ電気店で手に取ってみた時だった。少し大きく、重い。すなわち、ちょっと間延びした感じ。寸法、重量、質感、機能、価格。すべてを取り混ぜた総合的なパフォーマンスバランスが、小生にとっては良くない。ポメラDM30の購入を迷ったときのことが脳裏をよぎる。「あの時も決着は電気店だった。あの時はキー入力のタイムラグだったっけ。」ポメラを購入するのは今でなくても良い。次作に期待することにした。
 さて、ポメラに代えるべく復活させるGPDPocketのほうだが、実用的な速度を出すためにとにかく軽く、内容的にバランスがとれている物ということで、LinuxMintとMateの組み合わせとした。最初Xfceとの組み合わせでインストールしてみたのだが、ちょっと重ためな気がしたためMateも試してみることとし、結局Mateに落ち着いた。

仕上がり内容

GPDPocket近影

準備と方針

  1. LinuxMint20.3"una" Mateをインストールする
  2. Linuxを通常使用できる状態に設定する
  3. ログイン画面の横倒し状態を直す
  4. ハイバネーションを使えるようにする
  5. GPDPocketハイバネート使用感と、デスクトップ設定について

5.Onkyo BX407A4関連Linux雑感

Linuxについて

 小生は、Linuxとかつて中国にあった「九龍城」のイメージが重なる。有名無名を問わず、多くの人々が寄ってたかってあちこち手を入れ、けずったり追加したりしながらも全体的には大きくなっていく。しかし、基本が増築工事だから、どうしても見通しの悪さやちぐはぐな点が出てくる。実物の九龍城は終に取り壊されてしまったが、そこでの人々の発するエネルギーはたいそう大きなものがあったそうだ。CUIベースだがマルチユーザー、マルチタスクのサーバーOSに、ハードディスクを突っ込み、ウインドウシステムをかぶせ、続々出てくるデバイスを取り込み、個人用途から大規模システム用途までこなしてしまうのは並大抵のエネルギーではない。

 きれいなウインドウシステムの皮をちらっとひとめくりするとごちゃごちゃしたモノがすぐ見えてしまうようなところが、なんだか「スチームパンク」っぽくてとても人間くさい。

 こんなOSがあると言うこと自体が、「無形世界文化遺産」と言ってもいいような気すらしてくる。

でも困ること

 特にインストール画面が、ディスプレーの画素数に追従しないで、はみ出ること。ボタンなんかが表示画面から出て行ってしまうなんて。しかも、それが昔も今も変わらずにありつづけているなんて。これはもはや伝統の域に達しているのかもしれない。「そういうものなのだ」と思って、受け入れるべきなのかもしれない。でも、困るのだ。

 一つの機能を司っているプログラムが、必ずしも一つのプログラムではないようだということ。それこそみんなで寄ってたかって作用しているようなモノもあるということ。「この道はどこにつながっているのですかね?」「この水はどこから来ているのですかね?」「さあてねえ。」「でも使えているのだから良いではないですか。」「そうですなぁ」「はっはっはぁ。(両者笑う)」

 「最先端だが、どこか牧歌的」と言ったところか。

 ここまで書くとそろそろ、「では、君が何とかしたら良いのだよ。」などと言う声が聞こえてきそうだ。「Linuxは参加自由なのだからね、ちみぃ。」今まで何遍聞いてきた台詞であろうか。

 だからこそ、小生にはLinuxが「九龍城」に見えるのだ。

 

 

 

 

0.Onkyo BX407A4にLinuxを入れて復活させる【はじめに】
1.Lubuntuをインストールする
2.タッチパネルを使えるようにする
3.光学式ポインティングデバイス及びマウスボタンを使えるようにする
4.サスペンド及びハイバネーションを使えるようにする
5.その他