02.GPDPocketで、Linuxを通常使用できる状態に設定する

Linuxを通常使用できる状態に設定する

 通常使用できる状態とは、GPDPocketの使用目的に合致させることで、プリンターとネット接続、そしてAnthyのキー配列である。ネット接続は、今時のLinuxは本当に手間なしになり、LANケーブルをつなげるだけである。プリンターはメーカーサイトからドライバをダウンロードしてきてインストールしたが、このサイトに出ていたインストール方法の表記が曖昧で分かりにくかったのと、チャット問い合わせコーナーがあったのはいいが、問い合わせてもまったくの梨のつぶてだった。まったく「おお〜っ。兄弟よ!」と、叫びたくなる心境であった。
 結局ドライバは無事インストール出来、LAN接続で通常印刷が可能になった。気をよくしてスキャナドライバも入れたが、すでにデフォルトでフロントエンドも入っているので、最低限度のスキャナ機能は、ほとんど苦もなく実現できた。まさに隔世の感である。
 Anthyに関しては、これはまったく使い勝手等好みの問題である。小生は完全にATOK派なため、これに準じた使い方ができればそれで良いのである。Anthyの場合は、大手日本語変換IMEに準じているようなので、さほど大掛かりな設定変更は必要ないが、ATOKで言うところの「部分確定」がデフォルトではもちろん、「入力メソッド」アプリのカスタマイズ項目にもなく、<Anthyキー設定1><〔Anthy〕次分節>のキーに"down"(下向き矢印キー)を追加し、内部的な動作はともかくとして、見た目(実際の操作上)は、部分確定と同等な動作となるよう工夫した。しかし、どうしてもダメだったのが"ESC"キーでキャンセルを行う動作であった。これはカスタマイズでも何でもなく、Anthyのデフォルト動作のはずなのだが、どういうわけかは不明だがキャンセル動作をしない。どなたかご存知の方がおられたら、是非ご教示いただければと思う。

 

キーの割り当て変更

Anthyの設定周りをいじっていたら、「キー配列を変えれば早かろう」という点に気づいた。GPDPocketには、筐体が小さい、英語配列であるという制約があり、小生にとって、このキーボードは少々使いずらい。しかも、Anthyを使う際に、使い慣れたATOK風操作にしたいので、それらをかなえるべく、キーの配列変更に至ったというわけだ。

 

配列変更方針

 

・"右Alt"キーと"F12"キーを交換する
・"BS"キーと"Del"キーを交換する

 

手順と操作


1.uim-pref-gtkの設定
2.変更予定箇所のキーコードを調べる
$> xev

3.キー割り当てマップをファイルとして取得する
$> xmodmap -pke > ~/.Xmodmap

4.マップ内の該当個所を書き換える
5.マップファイルを読み込み、設定を一時反映させる
$> xmodmap ~/.Xmodmap

6.設定の恒久化


1.uim-pref-gtkの設定


 まず始めに、uim-pref-gtk(メニュー表記は「入力メソッド」。以下、「入力メソッド」と表記する)を設定しておく。
例えば小生は、AnthyのON/OFF切り替え機能を"右Alt"キーに割り振った。ATOKで言う所の「全角半角切り替え」(日本語配列キーボードの”変換”キー)である。しかし、「入力メソッド」では、左右Altキーの左右を区別しないため、"右Alt"キーにのみ機能を割り振りたくても、左右同一の動作をしてしまう。すなわち、"左Alt"キーも埋まってしまい、それはそれで不都合である。そのため、"右Alt"キーと"F12"キーを交換することにした。そこで、「入力メソッド」のAnthyのONとOFFの二項目にあらかじめ"F12"キーを設定しておく。先に設定するのは、そのキーに本当に設定可能かどうか、設定後の動きがどうなるか先に知ることができる。「入力メソッド」の"取得..."ボタンをクリックして取得できないキーには機能を割り振ることはできないのだ。これは当初GPDPocketキーボードの"Menu"キーに割り振ろうとしたことに由来する(「入力メソッド」では、"Menu"キーに他のキーを割り振ることができない。手順3の方法は、もちろん割り振り変更自由自在である)。


2.変更予定箇所のキーコードを調べる


 次にツールを使ってキーコードを取得する。上記コマンドを入力すると小さなツールが立ち上がる。その状態で希望するキーを押すと、そのキーに関する情報(イベント関連情報)が画面に表示されるので、"keycode"に表示されている値を読み取る。

 

3.キー割り当てマップをファイルとして取得する


 ファイルはホームディレクトリに出力される。自分用の設定なため、ホームディレクトリにファイルを置くのが筋というものであろう。


4.マップ内の該当個所を書き換える


 ファイルの中から該当キーコードを探し、必要に応じ書き換える。要は切り貼りすれば確実である.小生の場合は、"右Alt"キー(キーコード:108)の項目を、"F12"(同:96)の内容と入れ替えた。


5.マップファイルを読み込み、設定を一時反映させる


このコマンドで設定ファイルを読み込み、即刻反映される。しかし、次回ログインまでである。ログインした段階で、元設定に戻ってしまう。

 

6.設定の恒久化


 ログイン毎に、先のコマンドを手動で実行するのはさすがに気が遠くなるので、機械に自動でやらせたい。しかし、このキー周りの設定はxmodmapよりさらに上役がいて、いくらxmodmapが設定しても、この上役が上書きして元に戻ってしまうため、埒があかない。今回は、この上役をなんとかするまでは手が回らない。そこで、メニューの<設定><スクリプト自動起動するアプリ>に、シェルスクリプトとして登録した。この方法だと、ログイン後にシェルスクリプトを実行するので上役の手から逃れることができる。最初はシェルスクリプトの自動実行には、少々スマートさに欠けるような違和感を感じたが、考えてみれば.xinitrcなり.xsessionなりに記述したところで、行っている動作はその都度内部的にシステムが実行しているわけで、シェルスクリプトでの「自動起動」と、実行のタイミング以外は何ら変わりはない(ここではその「タイミング」こそが重要なのではあるが)。さらには、実際に使ってみると、「スクリプト自動起動するアプリ」を使う方が、気軽にキー変更設定を「有効」にしたり「無効」にしたりと、小生にとり実用上は使いやすいので、「瓢箪から駒」ではないが、何か少し得をしたような感じがする。
 さて、出来上がったキー変更とAnthyのキー設定により、エディタでの文書入力作業が、ほぼほぼATOK風になった。小生がよく使うのは、部分変換と文節移動、全角半角切り替え、およびバックスペースであるようなので、これらがほぼ日本語キーボード位置で操作できるようになったのは大きい。
 これでGPDPocketも文書作成標準機になるため、しばらくは手放せなくなりそうである。