05.GPDPocketハイバネート使用感と、デスクトップ設定について

ハイバネート使用感

 快適である。Linuxなので、ポメラHP200LXのそれには無論のこと及びはしないが、それでもLinuxMintロゴの下に、"Resuming from/dev/disk/by-UUID/<UUIDの長い文字列 >"が細かい文字で並んでいるのを見ると思いも寄らずおまけをもらった時のような嬉しさがこみあげてくる。さらに、OS起動後すぐ入力途中だったエディタ文書画面が表示され作業が再開できることは、「アプリを立ち上げ、文書を開く」ことなど別に大した手間ではないのではあるが、事前に考えていた以上に精神的な負担がない。さらには、文書入力をしていて、画面を閉じてすぐ次の行動に移行できることも事前に考えていた以上に快適である。何と言ってもハイバネートなので、停止中に電力を一切使わない点は経済的、及び精神的負担感がまったく無い。これも、思っていた以上に快適感が盛り上がってくる一要因であると思う。

 

ついでにデスクトップ機に実施してみた結果…

 GPDPocketでの好結果を受け、気をよくしてデスクトップにも実施してみた。結果は、こちらも成功だった。機械の構成は下記の通りである。
CPU :AMD Phenom2 BE
 M/B :ASUS M4A89GTD PRO
 メモリ:8GB
ディスク構成:BOOT 500MB  SWAP領域 12GB / 115GB

 

GRUB設定>
GRUB_CMDLINE_KINUX_DEFAULT=""」の「""」(引用符)内に「apm=off acpi=force resume=UUID=<#スワップ領域のUUID> 」を追加記述する。ファイル保存後、「sudo update_grub」で更新する。


【記述例】「GRUB_CMDLINE_KINUX_DEFAULT="apm=off acpi=force resume=UUID=<#スワップ領域のUUID>"」

 

 小生の場合、主使用がWindowsで、副(お下がり)にLinux等をその都度入れ替えて使用している。設定上今回は、初めからswap 領域をきちんと確保した。それに伴い、GRUB設定の記述も変わる。すなわち、スワップパーティション領域として作るか、GPDPocket時のようにファイルとして作るかによって、カーネルパラメータの指定方法が変わるのだ。スワップ領域」の場合は、resumeパラメータに、「スワップ領域のUUID」のみを指定する。スワップファイル」の場合はresumeパラメータには「/(ルート)のUUID」を指定するとともに、resume_offsetパラメータにスワップファイルの物理ブロック番号の最初の番号を指定する。ちなみに、この二つのUUIDは、スワップ領域を確保したディスクの場合は、/etc/fstabにまとめて記載されるようである。今回小生は、このfstabファイル記載のデータを使用した。
 今回デスクトップを設定してみたのは、Debian11とMint21とMint20の3つである(たまたまデスクトップ機にDebian11がすでに入っていたためであるが)。結果をまとめると下記のようになる。
             Hibernate  Resume
 Debian11  ○   △→×
 Mint21  インストールできず
 Mint20   ○   △→○

 設定に関し、Debian11は何もすることがない。手間いらずである。なにせ、すべてデフォルトで使えるようになっている。電源管理アプリを好みで設定するだけで、ハイバネートする。電源も切れる。ただし、小生の環境ではレジュームで問題が出た。レジューム動作はするのだ。画面もきれいに復元する。「デフォルトですごいな。」と思ったのもつかの間、その後動かない。ロック状態である。でもよく見ると時計がハイバネートした時の時間のままである。どうやら見ているのは「スクリーンショット」のようだった。カーネルが、ハイバネート動作を具体的にどのように処理しているのか、ソースを見ていないので確かな事はわからない。が、おそらくスクリーンショットをハイバネート時に撮っておき、レジューム時の画面構成用にそれを使い、データを当てはめていくといったような処理なのであろうと推察する。そのためDebian11の動作は、レジューム時の画面表示直後に、処理が中断しているのであろうと思われた。基本的に設定はノータッチだったので、こちら側関与の原因としては、スワップ領域容量か、BIOS設定か。そこで領域容量をRAM2倍量にしてみたり、FastBootをやめてみたりしてみたが同様の結果だった。そこで、「スワップファイルを作って」と思って設定したが、Debianには"filefrag"コマンドが入っていない。「スワップファイルは使わせないということか」ということで諦め、「しからばMintにしよう」とサイトを見ると、すでにバージョンが21になっているではないか。「Mint恐るべし」と呟きつつ、最新版をインストールする。するとパーティション設定で引っかかる。最初「EFI領域を確保せよ」と言うので「自分の用途にはあまり関係ないのだが」と素通りするとその後に「GRUBのインストールに失敗した」と出、「じゃあ、まかせるわ」と、全部おまかせにすると今度は「EFI領域内の構成に失敗した」と出て、自分でやるのもだめ、機械がやるのもダメで、埒が開かないため、気の短い小生はここであっさりMint21を諦めることとした。と、書くと二回しかやっていないようだが、実際は、機械に任せる前にGParted-Liveを使って、数回パーティションを構成し直したりしているのである。
 さて、Mint20だ。設定を行った後、さっそく試行してみる。ハイバネートする。電源切れる。よしよし。レジュームする…?…しない。で、ログイン画面だ。あ~あ。そして再び、スワップ領域を広げたり狭めたりする作業の繰り返しの中で、ようやく「スワップ領域使用時の値指定方法」に辿り着く。やれやれ、再試行。ハイバネートする。電源切れる。レジュームする(ロゴマークとレジュームの文字出る)、画面が出た!…?…!!。Debian11とまったく同様の画面だった。静止画である。GRUB設定を見直し、正しく記載されているかを確認し、システムを再起動する。そして再試行する。すると、今度はハイバネートし、電源が切れた。数秒後、勝手に再起動した。あれよと思う間もなく表示された画面は、何とハイバネート時の画面で、マウスも動いている。時計も現在時刻である。変化は不意に訪れた。確認のため、もう一度ハイバネートさせてみると、今度はきちんと電源が切れたままだ。一時間ほど置いて起動させる。OS選択画面以降は、真っ黒画面である。ロゴマーク出ない。失敗か?すると、いきなりハイバネート時の画面が出た。動く。時計は、現在時刻だ。
 と言うことで、デスクトップでもようやくハイバネート機能が装備できた。その後何回か試行したが、現状問題なく使えている。
 GPDPocketで問題なく使えた設定でも、デスクトップでは動かない。個体が変われば動かない。Linuxでは珍しいことではない。今回、なぜ勝手に再起動したのかは謎だ。しかし使える。そんな所が良いのかもしれない。Mint20の起動時ロゴマークは、未だ出ないままだ。